30年かけて発展したインターネット。

その歴史を振り返り、私たちが向かっている方向とその理由について探ってみよう。

1980年代後半、Tim Berners Lee は悩んでいた。

当時、彼は CERN という世界で一番大きな素粒子物理学研究所で働いていた。

研究所の目標は最も精巧な科学用の器具を使い、最も単純な形の素粒子を研究し科学を促進することだった。

1988年、この研究所は LEP トンネルを作り上げた。

27kmの巨大なリングで、誤差はわずか1cmだった。

これはヨーロッパで一番大きな土木工学プロジェクトであった。(そんなに大きくはない素粒子「エレクトロン」を研究するためであった。)

LEP tunnel construction process (Credit: CERN)
LEP tunnel construction process (Credit: CERN)

Tin Berners Lee が直面した問題は素粒子物理学よりずっと単純な問題だった。

それは情報の紛失。

1989年には数千人もの人が CERN で働いていた。

チームの大きさやその複雑さのせいで、昔のプロジェクトの情報や知識を思い出すのに苦労していた。

解決できない問題ではなかったが、転職率が高かったため、ほとんど管理不能な状態であった。

当時「情報管理」と名付けられた提案で、Berners Lee は身近にある問題を共有した。

2年くらいが一般的な在職期間だったので、情報は絶えず定期的に失われていた。新しく入ってきた人たちに現在の仕事内容や状況を理解してもらうにはそれなりの時間がかかる。過去のプロジェクトにおける技術的な詳細は永遠に失われてしまうこともあった。緊急時には探偵調査で取り戻すこともあった。多くの場合、情報は記録されていたのだが、ただ見つけられなかったのだ。そこで情報管理を提案した。

彼の解決法はこうだ。

比較的新しい技術であった「ハイパーテキスト」を利用し、分散型で自由に漂うデータにアクセスできる情報管理システムを創ることだった。

Berners Lee の提案に対し、早いうちに寄せられた有名な反応は「漠然としてるけど、面白そうだね」だった。

次第に紙は技術セットが織り交ぜられた形に進化し、今日のインターネットとなった。

現在何十億人もの人が利用している W3C から特に目立つ3つのものは下記になる。

(Credit: CERN)
(Credit: CERN)

HTML:ハイパーテキスト・マークアップ・ランゲージ。ウェブの言語形式。

URI:ユニフォーム・リソース・アイデンティファイア。ウェブのリソースの目印となる唯一の「アドレス」のこと。一般的には URL と呼ばれる。

HTTP:ハイパーテキスト・トランスファー・プロトコル。ウェブでリンクされたリソースを検索可能にするもの。

これらの技術は私たちがコンピューター上で行うこと全ての土台を補強する。

私たちが情報を再整理するための種となり、非常に実りある努力となった・・・が、素粒子物理学と同じくらい複雑だったかもしれない。

もし Tim Berners Lee をタイムマシンに乗せて1989年から2018年に連れてきたら、きっと出来事の多い30年(30年?!)だったと思うだろう。

インターネットの進化がどれだけのことを人々にもたらしたか驚くだろう。

莫大な人数に、感動的で新奇なものを。

CERN での「情報管理」というアイディアが計り知れないほどの革命を起こすなんて考えてもいなかっただろう。

このフィクションの例え話では、おそらく彼は飲み物を飲んで、少し歩いて、何回か深呼吸しなければインターネットの影響を完全に把握することができないだろう。

そして、その歴史の中にあったいくつかのビッグネームにもきっと驚くだろう。

FANG (Credit: CNBC)
FANG (Credit: CNBC)

 

しかし、その後にきっとこんな言葉を発すると思われる。

「何かが違う気がする。」

その理由について話す前に、ウェブの歴史についておさらいするとより良く理解できるだろう。

Berners Lee がインターネットを公開した後、どうなったのか。

Web 1.0 や Web 2.0 とは何だったのか?

何が問題で、なぜ多くの人が Web 3.0 という新しいものが必要と考えるに至ったのか?

Outlier VenturesのJamie Burkeによると、論理的にはこうだ。

Web 1.0 は読むだけのウェブ

Web 2.0 は読んで書くウェブ

Web 3.0 は介入者のいない、読んで書くウェブ

では見てみましょう。

 

Web 1.0:読むだけのウェブ

Web 1.0 はデジタル化の時代であった。

本や研究、生活をウェブに持っていった。

ウェブはどんなファイルが入った棚よりも、今までで一番情報が取り出しやすい場所となった。

底知れぬ量の情報がオンライン上に保存された。

百科事典、医療記録、図書館の本全てがフロッピーディスクやハードドライブの中に入れられた。

2015年の概算によると、ウェブに何かを読みに行くと3055億ページものコンテンツがあるらしい。( Atlas Shrugged という本を2億8000万部相当)

インターネット上のコンテンツを全てプリントアウトしたら、何ページになるのだろうか?

―ワシントンポスト

しかし、初期の頃、人々は情報収集するのに貢献するとは思っていなかった。

Web 1.0 は外の世界の模写で、現実の世界の代わりにオンラインを使うという感じで、この発明が新しく使われる方法を考える段階ではなかった。

一つの感覚として、ウェブというメディアがまだ最大限開拓されていないことを示すのは、歴史家たちがこの非常に先進的なコンピューターネットワークについて巨大でグローバルなFAX機と言っていたところだ。―Daniel Cohen作 History and the Second Decade of the Web (2004) より

しかし、だからといって開発者たちがその背景で何もしていなかったわけではない。

大きな考えが少しずつウェブを進展させていた。

技術は改善され、Web2.0 へと私たちは誘われる。

 

Web 2.0:読んで書くウェブ

ウェブサイトの中で何かをクリックした時、ページ全体が更新されてしまっていた時代を思い出しましょう。(2000年代中頃を「昔の時代」というのは早すぎますかね?)

最初はゆっくり、そしてある時一斉に、インターネットブラウザは改善されました。

AJAX はこれを拡張 CGI スクリプトと呼び、アプリはウェブ全体を邪魔することなく、データを送受信し始めた。

そして、ボタンをポチっとするだけでポストを「 digg 」することができるようになった。

ウェブ体験が花開いた。

“Digg in 2006, a prolific example of ‘Web 2.0’ interactivity.” (Credit: Taylor Gerring of the Ethereum Foundation)
“Digg in 2006, a prolific example of ‘Web 2.0’ interactivity.” (Credit: Taylor Gerring of the Ethereum Foundation)

インタラクションに注目が集まり、新しいアプリはその観点で作られていった。

Posting, upvoting, hearting, pinning, tweeting, liking, commenting, clapping(ポスト、賛成票を投じる、ハートを送る、ピンする、ツイート、リンク、コメント、拍手)が新しい言葉として語彙集に載った。

ブログは2004年に爆発した。インターネット上で書くことのストレスが少なくなり、現在までさらに進化して簡単になった。

Facebook は Web 2.0 の世界では太鼓判ものだ。

ユーザーが一兆ものデータ列のクリエイターとなった。

Google と Amazon が Web 1.0 からWeb 2.0 へと導いた。

検索履歴に「書かれた」データから利用者たちのことをさらに理解し、その需要を基に商品やサービスを作り出したのだ。

「サービスとしてのソフトウェア」がビジネスモデルとして爆発的に増え、多くの企業がアプリケーション制作を事業とし、有料で消費者データを豊かに管理した。

 

Web 2.0 に出現した問題

静かに、ほとんど実感することなく、興味深いジレンマが現れた。

この読み書きできるウェブを作る時、普通ではない疑問がふわふわと表面の下を漂っていた。

誰がこのデータを所有しているのか?

Web2.0 のオンライン SaaS では、それに対して私たちができることは何もない。最初の頃、SaaS が新しくて素敵なものだったので、このことを人々は認識していなかった。しかし、ここ数年の間に人々はこれが大きな問題であることに気付いた。 

それらの組織にいる人たちが良い意識を持っている人たちだったとしても、自然と彼らの動機はユーザー側に立たない。ウェブ会社にとって、あなたは顧客ではなく、商品なのだ。

―Unchained の Laura Shinとのインタビューにて、Vitalik Buterin

興味深い筋書きが出てくる。

様々な素晴らしい、世界を変えたソフトウェアを使うごとに、ユーザーは静かに自分のデータを制御できなくなっていく。

わかりやすく説明すると、Facebook はあなたのソーシャルグラフ上にほとんどのデータを持っている。

あなたが Facebook に挫折(どのような理由であれ)したとしても、使用を止めるにはそのデータを諦める以外に方法がない。

エクスポートする方法などなく、出るしかない。所有権がプラットフォームに結びついている。

多くの企業がデータをあなたから引っ張ることができても、あなた自身がすることはできないのだ。

これは表面上、問題ではない。

個人的に言えば、これらの企業は自分よりも上手く私のデータを使ってくれる。

しかしそれらの企業は、それぞれの目的を持った、複雑なグループの出資者を保持している。

株式会社にとっては、出資者の価値を最大限に高めることが目的の一つだ。

Tim Berners Lee(と他にも多くの人)はこれによって作り出されるインセンティブをあまり良く思っていない。

「インセンティブを見せてくれれば、結果を見せてあげるよ。」

―Charlie Munger バークシャー・ハサウェイ社

読み書きウェブが可能にしたことが何かがよくわかる。

コンテンツを消費するためにインターネットに接続する代わりに、創出のカギを与えてきた。

Facebook や Twitter といったプラットフォーム、誰でもノート PC とインターネットがあれば繋がれる場所に築いている。

しかし、究極的にはその繋がりは私たちのものではなく、プラットフォームが所有者だ。

 

Web 3.0:介入者のいない、読んで書くウェブ

10年ほど前、Tim Berners Lee は「リンクトデータ」というコンセプトについて話した。

インターネットデータの問題を救うものだ。

ウェブが議論する余地もないほどの利点をもたらしたとしても、ドキュメントのウェブが隆盛する基となった原理は最近までデータに適応されていなかった・・・。

データのウェブは領域を限定したアプリに新しい可能性を開く。Web 2.0とは違い、固定されたセットのデータソースに対して作用するマッシュアップ、リンクトデータのアプリは開かれたグローバルデータスペースの上で運用される。ウェブ上に新しいデータソースが現れれば、さらに完全な答えが出てくるだろう。

リンクトデータ研究が始まったのと同じころ、中本哲史がビットコインを創った。それから10年、Berners Lee の概念は精神的に仮想通貨とリンクする部分が多いように思う。

私たちは Web 3.0 がどうなってほしいのか?

下記がウェブの将来に対する期待だ。

データをユーザーに

情報はユーザーが所有し、ユーザーに利益を与えたいと思っている企業、事業、サービスに提供する。

検閲への抵抗

政府、企業、組織は誰の情報も管理してはならない。

ユーザーとプラットフォームの整列

競争的な関係ではなく、ユーザーとプラットフォームの制作者が共存できる、暗号ネットワークを作る。

透明でオープンなネットワーク

「暗号ネットワークとその参加者にある契約はオープンソースコードによって実施される。そして、「声」と「出口」のメカニズムを通じて常にチェックされる。」―Chris Dixon

グローバルなインタラクション

小さい大きいに関わらず、価値、情報、資産の取引がインターネット上で誰とでも、どこででも、低価格でできる。

アイデンティティの自治

全てのデジタルアイデンティティは自分が所有し、見て、理解することができる。(uPortウェブサイト参照)

「引く」ではなく「押す」

データの所有者から「引っぱってくる」のではなく、信頼できるソースに自分の情報を「押し出す」。

 

どのような未来になるのか?

「インセンティブを変えれば、世界が変わる。」―Niran Babalola

Web 3.0 はより良く、公平なシステムを築くチャンスがあると信じている。

これは入力と結果が等しくなることと混同しないでほしい。

少なくとも、今よりも公平な機会となる。

これらの利点のいくつかは、以前の www の反復について議論する前に称賛されていたことを明確にしておこう。これらの変化は成功するのだろうか?より良い世界に導いてくれるのか?まだ技術的にも、経済的にも、政治的にも、哲学的にも応えられていない質問で、先に待ち構えている。意図しない結果に繋がることが期待される。

Web 3.0 がもっと民主的な反復となることを願う。報酬がユーザーとクリエイターをもっと良い形で並べると信じている。もし私たちの側に何か一つあるとすれば、オープンは必ずクローズを打ち負かしてきたことで、十分な時間的尺度が与えられている。

Source : A Warm Welcome to Web3 and the Future of the Internet

※ 原著者に翻訳及び転載の許諾を得ています。